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ルーマニアの原子力企業Nuclearelectricaは、ドイチェシュティで進める米NuScale製の小型モジュール炉(SMR)計画について、2月に承認した最終投資決定の条件のうち8割超がまだ満たされていないと明らかにした。未達の中には、米国の提携先であるNuScaleが負うはずだった重要な約束事も含まれる。同社は、現在の計画のままでは事業を続けられない可能性があると述べ、採用する技術を含めて計画全体を見直す方針を示した。欧州で先行事例と見られてきた案件だけに、SMR全体の事業化の難しさを映す出来事として受け止められている。

引用元: ルーマニアのNuScale製SMR計画、主要条件未達で再評価へ(Romania Insider)

分析・見解

決定から8か月で8割超が未達という異例の遅れ

最終投資決定は、本来なら「あとは建てるだけ」という段階の合意である。そこに付いた条件の8割超が残っているということは、決定の時点で肝心な部分が固まっていなかったと読める。条件とは、価格の上限、工期の保証、資金の確保、技術面の責任分担などを指す。これらが動かないまま署名だけが先に進んだ形だ。

政治的な節目に合わせて決定を急ぐと、こうした宿題が後ろに積み上がる。大型原発でも珍しくないが、SMRは実績が乏しく、宿題の中身が重くなりやすい。

提携先の約束が果たされていない点が重い

今回もっとも重いのは、未達項目に提携先NuScaleの約束が含まれることだ。顧客側の努力だけでは解決できず、技術供給者の側が条件を満たせるかが事業の成否を左右する。

NuScaleは米国でも似た経験をしている。ユタ州の電力共同事業体向け計画は、見積もりの発電単価が上がり続け、2023年に打ち切られた。SMRの売りは「小さく工場でつくるから安い」という点だが、初号機の段階では量産効果が働かない。実際の単価は、約束した水準より高くなりがちである。

技術を替える選択肢まで視野に入る意味

Nuclearelectricaは技術の再検討にも触れた。これは単なる交渉上の揺さぶりではなく、実際に別の炉型へ切り替える余地を探る動きと見たほうがよい。ルーマニアはカナダ型重水炉の運転実績があり、既存の人材や規制の知見を生かせる選択肢が他にもあるからだ。

つまり、特定の一社の炉に最初から縛られない構えである。SMRの競争は、設計の優劣だけでなく、契約条件を守れる体制があるかで決まる局面に入った。

日本を含む各国が学べる点

今回の件は、SMRそのものが失敗したという話ではない。技術の完成度と、事業として成立する契約の完成度は別物だと示した事例である。各国の計画では、決定前に条件をどこまで詰めたかを、公開情報から比べて見るとよい。

ビジネスへの影響

契約条件の未解決部分を洗い出す視点

SMRや大型設備の調達に関わる企業は、投資判断の書類にある「条件付き」の文言を軽く見てはならない。条件がいくつあり、そのうち誰の責任で、いつまでに満たすのかを一覧にして管理するべきである。今回のように期限を過ぎても大半が残るなら、投資判断は実質的に仮のものにすぎない。

特に、供給者側が負う約束については、未達のときの違約金や撤退の権利を契約に明記しておくことが重要だ。

部品・工事を受ける企業の備え

部材メーカーや建設会社にとっては、受注見込みが後ろへずれるリスクがある。大型案件の内示だけで設備投資や人員増を決めると、計画の見直しで資金繰りが苦しくなる。

対策としては、受注の確度を段階ごとに分けて見ること、特定の案件に売上を寄せすぎないこと、複数の炉型に対応できる仕様の製品を持つことが挙げられる。再評価で別の技術が選ばれても、共通部品なら仕事が残る。

電力の調達側が取れる現実的な手

電力を使う企業は、原子力の新設を前提に長期の脱炭素計画を組むと、時期の読みを誤る。再生可能エネルギーと蓄電、既存炉の運転延長を組み合わせ、新設炉が遅れても目標を守れる余地を残すのが堅実だ。

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