ニュースの概要

韓国では、国内外の事業者が2028年以降に小型モジュール炉(SMR)の建設許可を申請する計画を進めている。ところが、SMR専用の技術基準や審査の手順が整うのは2032年ごろまでかかる可能性があると、規制当局の資料から分かった。2027年には米テラパワーのナトリウム炉など3つの設計、2028年には国産のi-SMRを含む複数の設計について、事前審査が見込まれている。当局は、特定の技術に偏らず、リスクの大きさに応じて審査の重さを変え、性能で安全を確かめる方針を掲げる。つまり、申請の時期が先に来て、ものさしの完成が後に来る構図である。

引用元: 韓国のSMR計画、建設許可開始に対し規制基準整備が2032年まで遅れる可能性(Korea JoongAng Daily)

分析・見解

申請が先、ものさしが後という時間のねじれ

このニュースの核心は、技術の遅れではなく制度の遅れにある。2027年から事前審査が始まるのに、SMR専用の基準が固まるのは2032年ごろかもしれない。五年近い空白が生まれる計算だ。

この間、審査は既存の大型炉向けの基準を土台に、個別に読み替えて進めることになる。読み替えは担当者の判断に頼る部分が大きい。事業者から見れば、同じ設計でも審査の結論が読みにくくなる。

三つの設計が同時に来ることの重さ

2027年の事前審査には、ナトリウム冷却の高速炉など、型の異なる設計が並ぶ。軽水炉(=水で冷やす現在の主流の炉)しか審査した経験が薄い当局にとって、冷却材が違う炉は別の学問に近い。ナトリウムは水や空気と激しく反応するため、火災対策の考え方がまるで変わる。

米国では、テラパワーの建設許可審査に原子力規制委員会が数年をかけた。それでも審査の過程で、基準の解釈をめぐる確認が何度も重なったと報じられている。韓国が同じ負荷を短い期間で背負えば、人手の不足が表面化しやすい。

技術中立と性能基準型は、実は準備に時間がかかる

当局が掲げる性能基準型とは、部品の仕様を細かく決めるのではなく、事故時にどこまで被害を抑えられるかという結果で判断する方式である。設計の自由度が高く、新しい炉に向く。反面、結果を確かめるための解析手法や試験データを、先に整えておく必要がある。

仕様を並べた従来型の基準は書くのが速い。性能で縛る基準は、その性能をどう測るかまで決めなければならない。2032年という見通しは、この作り込みの重さを映しているとも読める。遅れというより、正しく作るための時間とも言える。

独自の視点として見たい、国産炉の立場

もう一つ見落としやすい点がある。審査される側にi-SMRという国産設計が含まれていることだ。自国の炉を、自国の未完成の基準で審査する形になる。基準づくりが産業振興の圧力を受ければ、安全の説得力が弱まる。逆に、慎重になりすぎれば国産炉の輸出の足を引っ張る。

海外の購入候補国は、設計そのものと同じくらい、その国の規制当局の信頼度を見ている。基準の整備状況は、輸出競争力の一部なのである。

ビジネスへの影響

事業計画は「基準確定前の申請」を前提に組む

韓国市場を狙う事業者は、2032年に基準が出てから動くのでは遅い。基準が固まる前の審査で、どのような追加資料を求められるかを想定し、解析データや試験計画を厚めに用意しておく必要がある。審査期間が延びても資金が尽きないよう、資金繰りには余裕を持たせたい。

部品メーカーや素材企業には先回りの好機がある

基準が未完成の間は、機器の品質確認の手順も固まらない。ここで、自社の部品について試験データを自主的に積み上げておく企業は、基準が決まる段階で有利になる。当局や設計会社と早く対話し、評価方法の議論に参加することが、実質的な競争力になる。

日本企業が持ち帰るべき確認項目

日本でも、新型炉の審査基準の整備は進行中であり、同じ種類の課題がある。海外案件に関わる企業は、相手国の基準整備の工程表を、契約前のチェック項目に加えるとよい。工程が読めない市場では、段階ごとに撤退や見直しができる契約条件にしておくことが、損失を小さくする現実的な備えになる。

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